降圧治療が必要になるケース

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「血圧が高い」と言われたら、生活習慣の改善を始めると同時に、早いうちに内科や循環器内科を受診しなければなりません。医師の診察を受け、本当に高血圧なのか、なぜ高血圧なのかを調べ、二次性高血圧や高血圧緊急症などの場合には、できるだけ早く原因となる病気の治療と降圧治療を始める必要があります。

 早いうちに内科循環器内科を受診を・・・・

本態性高血圧の場合には、高血圧を放置している期間が長くなるほど、脳卒中や心臓病、腎臓病などの合併症が起きる可能性が高くなるからです。

ある朝、身体の片側が動かなくなって(脳卒中による片麻痺)から病院に走るのでは、遅すぎます。

収縮期血圧210mmHg以上は急な臓器障害に

高血圧の中には、収縮期血圧210mmHg以上・拡張期血圧120mmHg以上という異常に高い値を示し、脳、心臓、肺、腎臓、大動脈などの臓器障害が急速に進行していく、「高血圧緊急症」と呼ばれるものがあります。

30歳から55歳ぐらいと比較的若い年齢で多く、高血圧の人の200人に1人ぐらいの低い割合でしか起きません。けれども「高血圧緊急症」は、いったん発症した場合はすぐに適切な治療を始めないと、臓器障害の結果、短期間のうちに命を失ってしまう非常に危険な病気です。

高血圧緊急症にはいくつか種類があります。

「加速型・悪性高血圧」「高血圧脳症」は、眼底、腎臓、脳が障害を受ける病気で、特に緊急性が高いものです。

「急性の臓器障害を伴う重症高血圧」は、脳卒中、心臓病、腎臓病など「高血圧の危険な合併症」を伴う緊急症です。

「褐色細胞腫クリーゼ」は、血圧を上げる副腎ホルモンの分泌が過剰で起きる緊急症です。

緊急かつ適切な治療には高血圧の専門家を

高血圧緊急症には、この他に、脳梗塞の血栓溶解療法後、冠動脈バイパス手術後、一般外科手術前後などの「重症高血圧」、子癇、重症のやけどによるものがあります。また、高血圧の人が降圧薬の服用を中断した後や、過労など高ストレス状態で長期間過ごした時にも起きることがあります。

いずれの場合もただちに入院して降圧治療を開始しなければなりませんが、25%程度以上の急激な降圧は、脳梗塞や心筋梗塞など虚血性の病気を引き起こす危険があります。

心血管病のリスクなどを検討して治療開始

二次性高血圧、高血圧緊急症、重大な合併症がある時は、ただちに降圧薬の投与をはじめとした必要な処置が取られます。

ただし、高血圧の人の9割を占める本態性高血圧の場合は、その人がどのぐらい脳卒中、心臓病、腎臓病などになりやすいかという「リスクの程度」によって、その後の治療方法が決まってきます。

リスクの程度は、血圧の値と、その人の持つ心血管病の危険因子の数や内容によって判断されます。

「高リスク」の人には、原則としてただちに降圧薬による治療が開始されます。「中等リスク」や「低リスク」の人には、いったん生活習慣の改善指導が行われます。

生活改善の効果がなくて血圧が正常値に下がらない場合には、降圧薬による治療が開始されます。

薬は血圧を下げるだけ、病気は治さない

食事や運動療法などの生活習慣の改善で血圧が正常値に戻る人は、残念なことに全体の2割り程度の人にすぎません。

残りの約8割の人は、高血圧の最も基本的な治療法である「薬物療法」を始めることになります。

薬物療法の中心は降圧薬の服用です。しかし降圧薬は血圧を下げるだけのもので、高血圧という病気を治すものではありません。

そのため、生活習慣の改善を続けているうちに“休薬”になることもありますが、多くの人は何年も何十年も延々と降圧薬を飲み続けることになります。

降圧薬は各自の身体に合わせて処方される

降圧薬には、血圧を下げるメカニズムで大別すると、以下のような種類があります。

カルシウム拮抗薬・・・・血管平滑筋(血管の壁を校正している筋肉)の収縮を抑えたり、直接血管を広げたりする。

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗)血管拡張薬・・・・血液中のナトリウムや水分の排出を殖やし血液の全体量を減らす。

利尿薬・・・・ARB血圧を上昇させることになる交感神経の活性化を抑える。
交感神経抑制薬(アルファ遮断薬、ベータ遮断薬など)

第一選択薬として指定されているため多くの人が初めに飲み始めるのは、カルシウム拮抗薬やARBをはじめとする薬剤です。

多くの場合、医師はまずどれか1つの薬剤を処方し、2週間から4週間ごとに血圧を測定します。

そして、血圧が目標値に達すればそれでよし、達しなければ量を増やすか、別の種類の薬を付け加えて2剤または3剤にしていくのが普通です。

もしも重大な副作用が出た時は、いったんその使用を中止し、別種の薬剤か、同じ種類でも別の物質の薬に替えます。

期待どおりかつ安全に血圧を下げるには、降圧薬はできるだけ処方どおりに、飲む時間も量も正確を期して飲まなければなりません。

そして身体のわずかな変化にも注意し、発疹や立ちくらみなどの異常や副作用などがあったらすぐに医師に報告し、薬を変えてもらう必要があります。

EBMの浸透で変わる高血圧の常識と治療

一昔前までは「年齢に90を足すとだいたい適正な血圧値」と言われてきました。現在では、何歳であっても収縮期血圧120mmHg未満・拡張期血圧80mmHg未満が理想的な血圧(至適血圧)とされています。

これは血圧値と心血管疾患(心臓病や脳卒中など)リスクの関係を調べた大規模臨床試験の結果、成人なら年齢に関係なくその値が高リスクになる分岐点と解ったからです。

医療の世界では近年、「EBM(根底に基づく医療)」という考え方が急速に普及してきました。

高血圧の治療でも、医師個人の経験や信念だけでなく、エビデンス(根拠)に基づく薬の選択や治療計画の策定が当たり前になり、2009年に「アルファ遮断薬」が第1選択肢から排除されるなど、一昔前とは事情が大きく変わりつつあります。

そうした動きの中には、新しい降圧薬や製剤法の登場などもありますが、最も注目すべきは「テーラーメイド療法」という考え方の登場と言ってよいと思います。

テーラーメイド療法は、万人に共通ではなく、病気の人ひとりひとりの個人差を考慮し、各人の病態や生活スタイルに応じた治療ということです。

高血圧の治療法で言うと、遺伝子型と病態の関係や年齢別などの疫学データといったエビデンスが十分でない現在は、合併症など心血管病の危険因子に基づく「リスク層」別の治療がようやく開始されたところです。

しかしそれは、治療計画の決定に「高齢」や「喫煙」「メタボ」といった高血圧の人の病気以外の要素を加味したという意味で、まだテーラーメイド療法への初めの一歩。今後の進展に大いに期待がされています。

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