高血圧と合併症

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高血圧を引き金とする動脈硬化は、心臓や脳や腎臓の血管だけでなく、全身のさまざまな血管で進行します。その結果、引き起こされる代表的な合併症のひとつが、目の奥の網膜にある細い血管が破れて出血する「眼底出血」です。

眼底出血:眼の奥の血管が詰まり・・・・

高血圧の人が網膜の動脈硬化を進行させると、時に「眼底出血」を起こすことがあります。

あふれた血液に覆われた網膜は、光を感じることができず、その部分の網膜で得ていた視野は失われます。

視野の一部だけが失われても視力に大きな影響はありませんが、網膜の中で最も視神経が集まっていて色と形を感じる黄斑部が出血の影響を受けて、機能が低下すると、視野の中央が見えなくなり、視力が大きく損なわれます。

足に向かう血管が詰まり、歩けなくなる

足に向かう大小の血管で動脈硬化が進み、足に血液が流れにくくなって起きる「閉塞性動脈硬化症」は、特に糖尿病、多量喫煙・多量飲酒習慣がある高血圧の男性に見られます。

ごく初期の症状は、足が冷たい、しびれる、色が悪い、傷の治りが遅いなどですが、やがてすこし歩くとふくらはぎなどが痛んで歩けなくなります。

これを「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と言い、少し休むと治りますが、病状が進行すると、やがて歩かずにじっとしていても痛むようになります。

また、腹腔内の腹部大動脈の動脈硬化が進むと、「腹大動脈瘤」ができることがあります。

これは血管の壁の一部が外に向かって膨らんでこぶのようになった状態です。膨らんだこぶは、ちょっとした血圧の変動などで破裂しやすく、大出血を起こして急死する可能性もあります。

腎不全:腎臓は血液を良好な状態に保つ装置

腎臓は背中側の肋骨の内側に左右1対ずつある臓器で、1分間に1000?1200mlもの血液が流れています。

これは心臓から排出される循環血液量の約2割に相当し、腎臓では絶え間なく血液を濾過し、尿を生産しています。

高血圧は全身の血管に悪影響を及ぼしますが、それは腎臓にも及び、長い年月のうちに腎臓の機能全体が失われて元に戻らなくなる「腎不全」に陥ることも少なくありません。

腎不全になってしまうと、血液中に老廃物が増え、体内環境が悪化し、いろいろな不具合が出てしまいます。しかも、厳しい食事制限を余儀なくされることになります。

慢性腎不全で腎機能が失われてしまうと、人工透析科腎移植に頼るしかありません。人工透析を開始する人の約7%が、高血圧による「腎硬化症」(腎臓全体が固く萎縮してしまう病気)です。

また、腎臓に入る腎動脈が高血圧のために動脈硬化を起こすことも「糸球体硬化」や「腎硬化症」となり、血液を濾過する機能はもちろん、塩類の濃度を調節する機能なども低下し、やがて失われます。

腎臓の病気から高血圧へ

逆に、腎臓の病気が高血圧を引き起こすこともあります。腎動脈の動脈硬化などで腎臓の血管が狭くなる「狭窄」や小児期の溶血連鎖球菌汗腺による「腎炎」などが引き金となり、「腎性高血圧」になるのです。

二次性高血圧の中で最も多いのは、この腎性高血圧です。腎臓病の多くは、かなり進行してからでないと自覚症状が見られません。そこで重要なのが検査です。特に尿検査は、高い確率で異常を発見できます。

脳卒中:脳の血管が詰まったり破れたりする

高血圧という病気は、全身の血管の内側の壁(血管内皮)を傷つけます。その時に、血液中にLDL(悪玉)コレステロールなどの脂肪分が多いと、その傷ついた場所に脂肪が入り込んで血管壁の内側に粥(かゆ)のように盛り上がったり(粥状硬化)、壁の中に染み込んだりして、その結果、血管を硬く脆くしたりします。

それが「動脈硬化」という状態で、血液が流れにくくなるため血圧はますます高くなり、粥状硬化が破れて血管をさらに詰まらせたり、血管が破れたりしてしまう危険性も大きくなります。

動脈硬化は、大動脈・脳動脈・冠動脈などで起こります。

そのうち脳の血管で起きる動脈硬化は、脳卒中という生死にも係る重大な合併症を引き起こします。

なお脳卒中は、脳内の血管が破れる「脳出血」、脳の外側を走る太い脳動脈が敗れる「くも膜下出血」、脳内の血管が詰まる「脳梗塞」など、脳血管疾患の総称です。

毎年10万人以上が脳卒中で脂肪

脳卒中は現在、がん、心臓病に次いで日本人の死因の第3位で、脳卒中による死者は毎年10万人を超えています。

また、発症後の身体の麻痺、認知症などで日常生活に支障が出ている人も多数に上がります。

厚生労働省が進める国民運動「健康日本21」では、国民の平均血圧が2mmHg下がれば脳卒中による死者は1万人ずつ減り、脳卒中で日常活動に支障が出る人も3500人程度ずつ減るとされています。

疫学的に見ても、脳卒中は高血圧と密接な関係があり、高血圧の最も危険な合併症のひとつとも言うべき病気です。

心臓病:心臓のオーバーワークを招く高血圧

高血圧は、「体内を流れる血液の量が多い」か、その「血液が血管の中を流れにくくなっている」ことで起きる病気です。血液の量が多くなって血圧が高くなると、心臓は心筋(心臓を構成する筋肉)の量を増やして、血液を以前と同じように全身に送り出そうとします。

その結果として起きるのが、心臓の壁が分厚くなる「心肥大」です。また、心臓の壁が薄くなりながら拡張してしまう「心拡大」になってしまうこともあります。

心肥大や心拡大は、一時的には心臓の血液を送り出す機能を高めますが、やがて新機能が低下し、正常時より多くのエネルギーを使う心臓のオーバーワーク状態が続くと、不整脈などの症状も現れて突然の心停止という取り返しのつかない事態に至ることもあります。

血液が冠状動脈を流れ難くなると・・・・

また心臓には、心臓が必要とする酸素や栄養を供給する「冠状動脈」という大事な血管があります。

高血圧などを契機に冠状動脈に血液が流れにくくなると、酸素不足で胸に痛みや苦しみを感じる「狭心発作(狭心症)」が起こります。

血液が流れにくい状態が数十分以上長く続いたり、完全に流れなくなったりすると、心筋の一部が壊死してしばしば急激な死に至る「心筋梗塞」が引き起こされます。

狭心症、心筋梗塞、心肥大、心拡大などは、しばしば脂質異常症や弁膜症などとともに「不整脈」を引き起こします。

これは心臓の収縮・拡張リズムが正常に保たれない状態ですが、なかには心臓内に血栓を作り脳や肺の血管を詰まらせる、あるいは悪化して血液をほとんど送り出せなくなる「心房細動」のような危険な種類の不整脈もあります。

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